【 第一章 】
〜 ボタンとの出会い 〜
「うち、お店を閉めるんです。」
その一言が始まりでした。
ある日、
母がたくさんのボタンを持ち帰ってきました。
店仕舞いをする手芸屋さんから
譲り受けたものだと言います。
正直なところ、
それまで私はボタンに特別な興味を
持ったことはありませんでした。
「ふーん。」
そんな気持ちでひとつひとつ
手に取り眺めているうちに、
「え、可愛い。」
「綺麗。」
気づけば、ボタンに対して初めて心が動いていました。
その中のひとつを選び、
自分の服に付け替えてみると、
驚くほど印象が変わりました。
高価な服ではありません。
それでも、まるで別の一着のように
上品に見えたのです。
その時ふと思いました。
「そうか。ボタンには、こんな力があるんだ。」
それまで脇役だと思っていた存在が、
一瞬で主役になりました。
そして私は思ったのです。
「この子たちは、主役になれる。」
そう思いながら、
たくさんのボタンを組み合わせていきました。

