【 第二章 】
〜 時間を受け継ぐ 〜
おばあちゃんの裁縫箱に眠っていた
1960〜80年代のヴィンテージボタン。
誰にも選ばれることなく残されていた
デッドストックボタン。
付着した汚れはひとつひとつ丁寧に拭き取り、
新しい光を取り込みます。
中には傷のある子もいます。
色褪せた子もいます。
少しくすんでしまった子もいます。
最初は、そうしたボタンを作品から
外そうかと思いました。
けれど、その傷や色褪せは、
その子が過ごしてきた時間
そのものではないでしょうか。
新品にはない個性であり、歴史でもある。
そう思うようになりました。
安価なものも、高価なものも。
古いものも、新しいものも。
どれも価値のある存在です。
作品には主役もいれば、引き立て役もいます。
土台として支える存在もいます。
どのボタンにも、その子だけの役割があります。
誰かと共に過ごした時間。
私よりずっと昔の時代を知る時間。
その積み重ねを尊重しながら、
新しい作品の中に残していきたいと思っています。
ただ捨てられてしまうのではなく、
新しい時間の中で、もう一度輝いてほしい。
そして、その個性を愛してくださる方のもとへ
届いてほしい。
たくさんのボタンに触れるたび、
そんな想いは少しずつ大きくなっていきました。

